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学校授業は教科書や資料集を自由に使える?著作権やパブリックドメインを解説


・「学校授業だったら著作物を自由に使ってもいいの?」
・「教員が教科書や資料集を利用する際の注意点について知りたい!」
・「パブリックドメインってなに?」

基本的に著作物を使用する際は、著作権者に利用許可を得る必要があります。
一方、学校教育が目的であれば、著作物の使用許諾を得ずに利用することが可能です。
ただ、教員が教科書や資料集、フリー素材のイラストや写真を授業で利用する際は、著作権法に定められたルールに従う必要があります。

学校の授業や定期テスト、試験問題の作成には、著作物を参考にするシーンが多いでしょう。
教員が著作権法や慣習化されているルールを守らなければ、著作権トラブルに発展する可能性があります。しかし学校に属する教員の中には、具体的な著作物の使用方法がわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、そんな学校授業における著作物の扱い方について知りたい方に向け、下記の内容についてご紹介します。

本コラムを読めば、学校授業における著作物の正しい利用方法について理解し、著作権トラブルを防止できるでしょう。
また後半では、パブリックドメインについてや試験問題作成における著作物利用の注意点も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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学校授業で教科書や資料集、フリー素材を複製・公衆での送信をしていい理由

学校では、教科書や資料集、フリー素材などの著作物を利用して授業を行うことがあります。 教員は、著作物を授業で使うために、複製したりオンラインで公衆での送信をしたりする場合があります。 基本的に、学校教育が目的であれば著作物の利用許可を得る必要はありませんが、著作権法が定めるルールを守る必要があるのです。
ここでは、学校授業での著作物使用に関する下記の内容について、ご紹介します。

● 教育目的であれば、利用許可を得ずに著作物を使用することが許されている
● 著作権法における複製とは?
● 学校授業での利用が目的で教科書や資料集などを複製する際の注意点
● 著作権法における公衆送信とは?
● 学校授業での利用が目的で教科書や資料集などを公衆を送信する際の注意点

学校に属する教員が教科書や資料集、フリー素材の扱い方について理解が浅いと、「意図せず」著作権侵害してしまう可能性があります。 そのため、教員の方は、学校授業における著作物の正しい利用方法について理解を深めましょう。
ここからは、上記5つの点について具体的に解説します。

教育目的であれば、利用許可を得ずに著作物を使用することが許されている

著作権法により、学校教育が目的であれば、教員は著作物の使用許諾を得る必要がありません。 著作権法第35条1項には、学校授業における著作物の使用に関して、下記のように明記しています。

第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

引用:著作権法第35条1項

教員の方には、「著作物を無断で使用すると、著作権侵害に該当しないか心配」と不安に感じる場合もあるでしょう。 著作権法の条文を見ても分かるように、国が定める学校に属する教員が授業で使用するのであれば、著作権者に利用許可を申請する必要がないのです。 国が定める学校授業については、下記の「著作権法が定める学校授業の範囲と具体例」で解説します。 ただ、条文をまとめると以下の注意点を把握しておく必要があります。

・著作物は「必要と認められる限度」で利用しなければならない
・著作権者の利益を不当に害すると判断されると著作権侵害に該当する可能性がある

著作物を複製したり、インターネットで生徒へ公衆での送信したりする場合は、必要最低限の部分を利用する必要があるのです。

下記では、著作権法における「複製」と「公衆送信」公衆送信の意味や、具体例とともに詳しく解説します。

著作権法における複製とは?

そもそも複製とは、著作物をそっくりそのままコピーすることです。 著作権法の第2条1項15号では、「複製」を下記のように定義しています。

印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること

著作権法第2条1項15号

学校教員は、著作物を使用許諾なしに利用することが認められています。 そのため、教員は資料集や教科書、フリー素材を印刷・写真・複写・録音・録画などの方法で自由に複製できるのです。

一方、自由に複製してもいいと述べましたが、著作物使用にはルールがあります。 学校授業での著作物使用であっても、ルールを守らなければ著作権トラブルに発展する可能性があるので、注意すべきしょう。
著作物を学校授業で複製する際のルールについては、下記の「学校授業での利用が目的で教科書や資料集などを複製する際の注意点」で詳しく説明します。

学校授業での利用が目的で教科書や資料集などを複製する際の注意点

上記で、学校授業の著作物の複製にはルールがあると述べましたが、「具体的にどんな点に注意する必要があるの?」と感じる方もいるでしょう。 ここでは、教科書や資料集、フリー素材などを複製する際の具体的なルールについて解説します。

著作物を複製する際の具体的なルールは、以下の通りです。

● 複製する必要性を客観的に説明できる
● 必要な部分だけ複製する
● 複製物を配布する際は購入している「学習者用」の数を確認する
● 複製した本人が授業で利用する
● 複製できるのは公表されている著作物
● 慣習化された引用ルールがある場合はそれに従う

教科書などの著作物を複製する際は、授業で使用する妥当性が必要です。 主観的に必要だと判断するのではなく、誰が見ても必要と分かる用途で複製しましょう。

例えば、国語の授業で利用に必要性のない英語の文献を複製して、生徒に配るといった行為は、妥当性がない可能性があります。 ただ、教員が英語の文献を利用する妥当性が説明できるならば、英文を複製しても問題ないでしょう。

また、著作物の内容をすべて複製したり、学習者用の教科書を生徒の人数分購入していないにも関わらず配布したりする行為は控えてください。 例えば、生徒全員の購入を前提とした学習者用教科書を、1つしか買っていないのに配布すると、著作権者の利益を不当に害すると判断される可能性があるでしょう。 「出所の明示」などの公正な慣行に合致させる場合は、ルールに従って著作物を引用するのが適切です。

著作権法における公衆送信とは?

著作物の複製と同様に、教科書や資料集、フリー素材などを「公衆送信」する場合も、ルールを守る必要があります。
学校授業における著作物の公衆送信とは、生徒に向け教科書などを送信することです。 著作権法の第2条1項7号では、公衆送信を下記のように定義しています。

公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

著作権法第2条1項7号

近年、新型コロナ感染症拡大防止対策や、ICTの発展によってオンライン授業を実施するケースもあります。
オンライン授業を行う際は、インターネットや動画サイトを活用する場合もあるでしょう。 インターネットや動画サイトで著作物を投稿する際は、公開範囲に制限をかける必要があります。

万が一、著作物が一般公開されると、著作権侵害に該当するケースがあるので注意しましょう。 例えば、日本のサブカルチャーについて学ぶ授業であれば、日本の人気アニメや漫画を使ってオンライン授業する場合もあるかもしれません。 一部であってもアニメや漫画などの著作物が一般公開されると、著作権トラブルに発展する可能性があるのです。

学校授業で教科書や資料集などを、公衆での送信をする際の注意点

学校授業で教科書や資料集、フリー素材を公衆での送信をする際の注意点についてご紹介します。 著作物を公衆での送信をする際の具体的な注意点は、以下の通りです。

● 学習者用デジタル教科書の購入数に気を付ける
● インターネットや動画サイトで公開する際は閲覧制限をかける
● 著作物によっては「授業目的公衆送信補償金」を支払う必要がある

近年の日本社会では、ICTを活用した授業やデジタル教材の活用が推進されています。
ICTとは、日本語で情報通信技術のことを指し、タブレット端末などで教科書や資料集などの情報を処理できる技術のことです。
デジタル教科書とは紙の教科書や資料集の内容を電子データ化し、タブレット端末などのICT機器で活用できる教材のことを指します。 デジタル教科書は教育現場で積極的に導入されており、著作物の情報共有がしやすくなっています。教科書や資料集の内容を共有しやすくなった分、著作物の利用には注意を払う必要があるのです。
上記の著作物の複製で説明したように、学習者用のデジタル教科書は生徒の人数分購入する必要があります。
オンライン授業を目的とした著作物のインターネット公開や、動画サイトへの投稿は、学校教員や生徒以外に公衆での送信をしてはいけません。
一般公開すると、学校の授業に関係のない者も閲覧できるため、購入を前提とした著作物で得られる、著作権者の利益を害する可能性があります。 学校教員が著作物を公衆での送信をする際は、閲覧制限をかけましょう。 また、著作物を公衆での送信を行う機会が増加したことから、授業目的公衆送信補償金制度が創設されています。 授業目的公衆送信補償金制度は、著作権者の利益を保護するために、一定の使用料を払う制度です。 授業目的で著作物をインターネットなどにアップロードする場合は、利用許可を申請する必要はありませんが、補償金を支払う必要があるのです。

著作権法が定める学校授業の範囲と具体例

著作権法が定める学校授業の範囲と具体例について、ご紹介します。

● 著作権法が定める「学校その他教育機関」とは?
● 著作権法が定める「授業」とは?
● 著作権法が定める「教育を担任する者」と「授業を受ける者」
● 著作物を利用許可なしに使用できる学校授業の具体例

国は著作権法における学校や授業、教員と生徒に該当する例を明記しています。 ここからは、上記4つの点を具体的に解説します。

著作権法が定める「学校その他教育機関」とは?

著作権法が定める「学校その他教育機関」として、以下の例があげられます。

● 幼稚園
● 小学校
● 中学校
● 高等学校
● 大学
● 職業訓練に関する教育機関
● 社会教育施設
● 教育センターと教職員研修センター
● 学校設置会社の運営校

国が定める「学校その他教育機関」に該当していれば、著作物の使用許諾を得ずに利用することが可能です。 一方、営利目的の塾や予備校、社員研修などの場合は著作権者に利用許可を申請する必要があります。

著作権法が定める「授業」とは?

著作権法が定める「授業」として、以下の例があげられます。

● 国が定めた教育機関が実施する授業
● 学校行事などの特別活動
● 部活動
● 教員免許更新講習(2022年7月1日から教員免許制度廃止)
● 通信教育授業
● 履修証明プログラム
● 社会教育施設の講座や講演

著作権法の「学校その他教育機関」で説明した教育機関が、生徒や学生に向けて行う学校授業であれば、著作物の使用許諾を得る必要がありません。

一方、学校説明会やオープンキャンパスの模擬授業や、教員の研修などは著作権法が定める授業に該当しないので注意しましょう。

著作権法が定める「教育を担任する者」と「授業を受ける者」

著作権法が定める「教育を担任する者」と「授業を受ける者」として、以下の例があげられます。

「教育を担任する者」 小中学校、高等学校の教諭 大学教授 教育機関の講師
「授業を受ける者」 教育機関の指導のもと学習する者 (児童や生徒、学生、科目履修生など)

「教育を担任する者」と「授業を受ける者」は、名称や年齢は問わず学校に属する教員と生徒です。 教員に関しては、教員免許の有無や常勤非常勤などの雇用形態は、関係ありません。

著作物を利用許可なしに使用できる学校授業の具体例

著作権法における学校や授業などの定義をもとに、著作物を利用許可なしに使用できる学校授業の具体例を簡単に解説します。

● 教科書や資料集の内容を必要最低限度で複製したものを生徒に配布する
● 撮影した授業に教科書や資料集の一部が映る
● 補償金を支払った後、オンライン授業で著作物を利用する
● 英語のリスニング音声を授業で流す
● 学習者用デジタル教材を生徒の人数分購入した上で授業で利用する

基本的に、学校授業での著作物使用で著作権侵害に該当するのは、「著作権者の利益を不当に害する」場合です。

教科書や資料集などの著作物の内容をすべて複製し、生徒に配布するなどの行為は著作権侵害に該当するでしょう。
上記でも述べましたが、オンライン授業での著作物使用は、一般公開されないように公衆での送信をする必要があります。
また、公衆での送信をする場合は著作物の使用料として、一定の補償金を支払わなければならないケースがあるのです。

著作物におけるパブリックドメインと具体例

著作物におけるパブリックドメインと具体例について、ご紹介します。

● そもそもパブリックドメインとは?
● 著作物がパブリックドメインとしてみなされる条件
● パブリックドメインであっても著作者の人格権が継続されて保護される

パブリックドメインと判断される著作物は、著作権がないために自由に使用することが可能です。 ここからは、上記3つの点について詳しく解説します。

そもそもパブリックドメインとは?

パブリックドメインとは、教科書や資料集、フリー素材などの著作物に著作権が発生していない場合や消滅してる状態のことです。
つまり、パブリックドメインの著作物は、誰かに利用許可を申請する必要がなく、無断で使用できるのです。
パブリックドメインと判断される著作物であれば、利用する際に著作権侵害の心配をする必要がないでしょう。

一方、著作物がパブリックドメインであるかについて理解できなければ、著作権トラブルに発展する可能性もあります。 そのため、学校授業での著作物トラブルを防止するためにも、「パブリックドメイン」について理解を深めましょう。

著作物がパブリックドメインとしてみなされる条件

著作物がパブリックドメインとしてみなされる条件は、以下の通りです。

● 著作物の保護期間が過ぎている
著作物における保護期間は、原則著作者の死後「70年」です。
70年の保護期間が過ぎれば、著作物はパブリックドメインとなります。

● 著作者が権利放棄を明言している
著作権は、著作者が「権利を放棄する」と公表していれば、その著作物はパブリックドメインとなります。
一方、権利放棄が明言していることを確認できない場合は、教科書や資料集、フリー素材などをパブリックドメインとはなりません。

● 著作権を相続する者がいない
基本的に、教科書や資料集、フリー素材などの著作物は、著作権を相続することが可能です。 著作権が相続されておらず、著作者の死後「70年」が過ぎた著作物は、パブリックドメインとなります。

パブリックドメインであっても著作者の人格権が継続されて保護される

パブリックドメインは、著作権が発生していないもしくは消滅しているため、著作者に利用許諾を得ずに使用することが可能です。
一方、著作権がなかったとしても、使用する著作物には著作者の人格権が継続されています。 著作権者の人格権が侵害される場合、著作権トラブルが発生する可能性があるので、注意が必要です。
例えば、著作権者の人格権として、同一性保持権があげられます。
著作権法第20条1項では、著作者の同一性保持権として、下記のように明記しています。

第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

著作権法第20条1項

条文が述べているのは、「著作権者の許可なく著作物の改変をしてはいけない」ということです。
著作物の題名や内容を無断で改変すると、著作権侵害に該当する可能性があります。
ただ、学校授業を目的とした「やむを得ない改変」であれば、著作物の内容変更が認められています。 一方、やむを得ないと認められないような改変は、同一性保持権に抵触する可能性があるので注意しましょう。

試験問題作成における著作物の利用

試験問題作成における著作物の利用に関して、ご紹介します。

● 学校授業以外でも試験問題作成が問題作成目的であれば、著作物を使用許諾なしに利用できる
● 試験問題作成の具体的シーン
● 試験問題作成時における著作物使用の注意点

基本的に、試験問題作成時に著作物の使用許諾を得る必要はありません。
ただ、学校授業でのルールと同じように、著作物を定期テストや入試問題を作成するために利用する際は、公正な慣行に合致する必要があります。
ルールを守らなければ、著作権侵害に該当する可能性があるので注意しましょう。

ここからは、上記3つの点について具体的に解説します。

学校授業以外でも試験問題作成が目的であれば、著作物を使用許諾なしに利用できる

試験問題は、既存の著作物を参考に問題を作成するケースが多いです。 学校教員の中には、試験問題を作成するために著作物を無断使用していいのか、不安に感じる方もいるでしょう。 上記でも述べたように、定期テストの問題や、入学試験問題の作成に著作物を利用する際は、著作物の使用許諾を得る必要はありません。

ただ、試験問題作成が目的となって、著作物を使用する際は公正な慣行に合致して、参考にするルールがあります。
公正な慣行に合致するとは、言い換えれば出所元を明記するということです。
著作権法第36条1項では、試験問題としての複製に関して、下記のように明記しています。

公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

著作権法第36条1項

学校授業での著作物使用と同様に、試験問題作成のための教科書や資料集の使用にもルールが定められているのです。

試験問題作成の具体的シーン

学校教員が著作物を使い、試験問題を作成する具体的なシーンは、以下の通りです。

● 定期テスト
● 入試問題
● 資格試験

定期テストで使用する著作物は、教科書や資料集などが多いです。
例えば、社会のテストであれば教科書の文章を抜粋したり、地図を複製して問題用紙に貼ったりする場合があります。

また、国語のテストでは、授業で指導した教科書の小説や論説文を引用し、穴埋めや漢字問題を作成するケースもあるでしょう。 入学試験では国内や海外の文献だけでなく、イラストなどの素材も使用することがあります。 英語のリスニング試験では、イラストを見て回答してもらうシーンもあるでしょう。 さらに、資格試験を作成する場合も、著作者に使用許可を得ずに著作物を使用することが可能です。

ただ、資格試験の過去問などを無断で使用することは認められていません。 生徒に資格試験対策として、過去問集を配るといった行為は、著作権トラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。

試験問題作成時における著作物使用の注意点

試験問題作成時における著作物使用の注意点について、ご紹介します。
試験問題作成が目的となって、教科書や資料集、フリー素材のイラストを用いる際は、以下の点に注意しましょう。

● 必要と認められる限度で引用する
● 必要以上に改変しない
● 問題に著作物の出所を明示する
● 入学試験の場合は著作権者への使用報告が慣習化されている

著作物を試験問題作成に引用する際は、「必要と認められる限度」で使用しましょう。
教科書の内容をすべて複製し、定期テストなどを作成すると、著作権侵害に該当する可能性があります。
特に小学校や中学校、高等学校などのテストは、採点完了後に生徒へ返却する場合が多いです。 著作物の内容がすべてコピーされたテストは、著作物の複製物にあたるのです。 また、試験問題作成時は、文章や地図を改変することもあります。 「やむを得ない改変」と認められなければ、同一性保持権に抵触する可能性があるので、注意が必要です。 パブリックドメインの著作物を使用する場合でも、必要以上の改変は控えましょう。

入試問題で著作物を使用した場合、著作者への使用報告が慣習化されています。 使用した旨を報告しなくても、著作権侵害に該当しませんが、大学などの教育機関では、著作権者に使用報告することが多いです。 日本文芸家協会や、大学英語協会などの著作権管理団体も、各教育機関に使用報告をお願いしています。 入学試験終了後の使用報告に規定はありませんが、著作者へ使用報告をしない大学などは、非常識な教育機関と判断される可能性もあるのです。 そのため、入学試験で著作物を利用した際は、著作者へ使用報告を行うのが一般的です。

まとめ

今回は、学校授業や試験問題作成における著作物の使用、パブリックドメインについてご紹介しました。 教科書や資料集、フリー素材を学校の授業で利用する際は、無用な複製や改変、インターネットでの公衆送信に注意する必要があります。 著作権者の利益を不当に害する場合や、誰でも著作物を閲覧できる状態で公衆での送信を行うと、著作権トラブルに発展するケースもあるでしょう。 そのため、著作物を取り扱う学校教員は著作権法について認識を高める必要があるのです。 ぜひ本コラムを参考に、教科書や資料集、フリー素材の著作権について、理解を深めてください。

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