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著作権保護期間を完全理解!無方式主義や裁判所で著作権侵害とみなされる事例を紹介

●「著作権の範囲について知りたい!」
●「森鴎外の『舞姫』や夏目漱石の『こころ』など、過去に発表された近代文学の作品は著作権保護期間外なの?」
●「作品の著作者が亡くなった場合、著作権はどうなるの?」
●「裁判所が著作権侵害と判断する具体的なケースは?」
教科書や資料集などを制作する際は、小説や論文、イラスト、地図などの著作物の利用が必要不可欠です。
基本的に、著作物を使用する際は、著作権を有する者に利用許可を得る必要があります。
ただ、著作物の中には、著作権保護期間外の文献や著作者が権利放棄している作品の場合、著作権が「発生していない」もしくは「消滅」していることもあります。
著作権がない著作物であれば、無断で使用することが可能なのです。
一方、国内で作成された文献や地図などの作品に、「著作権があるか」を具体的に見極める判断が、難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな著作権の範囲の見極め方について知りたい方のために、下記の内容についてご紹介します。
●登録不要!作品の著作権が自然発生する「無方式主義」とは?
●保護期間外の作品は著作権が消滅している
●著作物の使用で裁判所が著作権侵害と判断する具体例
●著作権だけじゃない!作品における著作隣接権とは?
本コラムを読めば、作品における著作権の範囲について知ることができて、著作物の無断使用によるトラブル防止につなげられるでしょう。
また後半では、作品制作における関係者が有する著作隣接権についても詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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登録不要!作品の著作権が自然発生する「無方式主義」とは?

作品に著作権が発生する具体的な流れについて、ご紹介します。

小説や論文などの作品は、作成された時点から著作権が発生します。 著作者は、著作権を有するために手続きをする必要がないのです。 ここからは、上記3つの点について具体的に解説します。

そもそも著作権とは?

著作権とは、作品の著作者の利益や人格を守るための権利のことです。 小説や論文などの文章作品だけでなく、イラストや地図、写真、ブログなども著作物に入ります。 著作物の作成者の利益や人格などの権利を守るために、国は「著作権法」を制定しています。 著作権法第1条では、法律を定めた目的を下記のように明記しています。

第一条
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

著作権法 | e-Gov法令検索

国は著作者の権利の保護を図り、文化の発展を妨げないような利用ルールを定めているのです。
著作者には、自身が制作した作品で利益を得たり、著作物で自分の声望や考えを世間に伝える権利があります。 作品の転載や剽窃、盗作によって著作者の利益が侵害される事態は避けなければなりません。

一方、著作物使用に制限をかけることは、教育や文化の発展の妨げになる可能性があります。

例えば、文章作品を他の著作物に、「一切引用できない」といった法律が定められていると仮定します。 優れた近代文学作品と評価されるものであれば、自分の考えを分かりやすく表現するテクニックや、人間の心情を言葉で表す技術なども学べるでしょう。 教育における目的の1つとして、こどもたちが意見を伝えたり人の気持ちを理解できる能力を養うことがあげられます。

文章を引用しなくてもこどもたちに教育することは可能ですが、優れた作品を引用して解説する方がより効果的に学習できるでしょう。 著作物の一部でも引用が禁止されていると、学校教育の発展を妨げる可能性があるのです。 文化の発展を妨げることがないように、著作権法では著作物を自由に使える場合を明記しています。

例えば、学校教育を目的とするならば、著作権者の利用許可を申請する必要がなく、文章作品の複製や公衆送信が認められています。

著作権法は、学校教育や科学技術、人の成長を妨げることなく、著作者の利益や人格を守ることを目的としているのです。

著作権は手続きしなくても作成した時点から発生する(無方式主義)

文章作品などの著作物には著作権があると述べましたが、いったいどの時点から著作権が発生するのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、作品の著作権は「作成された」時点から発生します。

他人が作ったものには、すべて著作権があるのです。 そのため、「この著作物は著作権登録していないから、自由に使っていい」といった判断はできません。 作品の著者が著作権放棄を明言していない限り、著作物を無断で使用することができないのです。

このように、何かしらの権利を登録する手続きが必要がないという考え方は、「無方式主義」と言います。 作品作成時に、著作権を有するための申請手続きは必要ないのです。

他人の作品を利用して教材などの著作物を制作する方は、基本的にどんなものでも著作権が発生していることを、念頭に置く必要があるでしょう。

具体的な著作物の例

具体的な著作物の例をご紹介します。 「いったいどこからどこまでの範囲が著作物なのか」と疑問を感じる方も多いでしょう。 著作権法第2条には、著作物について下記のように定義しています。

一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

著作権法 | e-Gov法令検索

条文と文化庁を参考にすると、著作物に該当する条件として以下の4つの点があげられます。

● 著作者の「思想または感情」が表現されている
● 著作者の思想また感情を「実際に作品で表現している」
● 模倣ではなく「創作的」に表現している
● 文学や学術、美術、音楽の範囲に属する

文章作品などは、著作者の考えや感情を作品に表現しているものです。 単に数値を表示しているデータや形のないアイデア、模倣作品などは、著作物に該当しないでしょう。 また、言葉などの「配列」を創作した作品は、「編集著作物」として著作権が保護されます。 上記の条件を踏まえた具体的な著作物として、以下の例があげられます。

著作物 小説、研究論文、邦楽や洋楽などの楽曲、音楽作品、映画、アニメ、コンピュータプログラム、ブログ記事、イラスト、美術作品、動画コンテンツなど
編集著作物 新聞、雑誌、百科事典など
著作物に該当
しないもの
人の考えや感情、形のないアイデア、単なるデータ、模倣作品、工業製品など

基本的に、著作物に該当するのは、作品として形があり「創作性」を有するものです。 データやグラフ、世界で起こった出来事などは、単なる事実であるため、著作物に該当しないのです。
ただ、データやグラフに文章や色、イラストが挿入されている場合、「創作性」がある作品と認められる可能性があるでしょう。

保護期間外の作品は著作権が消滅している

上記では、著作権が発生する場合や具体的な著作物についてご紹介しましたが、著作権は永久的な権利ではありません。 文章作品などの著作物には、基本的に著作権保護期間が設けられています。
ここでは、著作権の保護期間についてご紹介します。

● そもそも著作権保護期間とは?
● 著作権の保護期間が著作者の死後70年間ではない例外のケース
● 著作者の人格権は死後も継続されるのか
● 近代文学作品の著作権は消滅しているのか

基本的に、著作権保護期間が過ぎている作品であれば、利用許可を申請手続きをせずに使用することが可能です。
ここからは、上記4つの点について詳しく解説します。

そもそも著作権保護期間とは?

著作権保護期間とは、著作者の権利保護が適用される期間のことです。 基本的に、文章作品などは著作者に利用許可を申請する必要があります。 自分の作品制作のために、他人の著作物を無断使用すると、著作権侵害になるでしょう。

一方、保護期間が過ぎると作品の著作権が消滅し、パブリックドメインとなります。 パブリックドメインとは、利用許可を得る必要がなく、自由に使用できる作品のことです。 保護期間外の作品は、パブリックドメインとして認められ、利用許諾を得ずに使用することが可能なのです。 著作権法第52条では、保護期間の原則について、下記のように明記しています。

(無名又は変名の著作物の保護期間)
第五十二条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後七十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後七十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。

著作権法 | e-Gov法令検索

原則、作品の著作権は著作者が亡くなってから「70年」が経過すると消滅します。 著作物の保護期間は、作品の著者が「死亡した日時」から70年ではありません。 正確な保護期間の開始日時は、著者が「死亡した『翌年の1月1日』から」です。 「公表されてから70年後」や「著作者が亡くなった日から70年後」と勘違いしてしまうケースがよくあるので、認識を間違えないよう注意しましょう。

また、著作権法に明記されているように、著作権が消滅するのは「著作者」の死後70年後です。 作品の著作権を相続し続ければ、権利が永久的に保護されるわけではありません。 保護期間は「著作者」の死後70年間で、期間が過ぎると著作権は完全に消滅するのです。

著作権の保護期間が著作者の死後70年間ではない例外のケース

原則、著作権保護期間は作品を制作した著作者の死後70年間です。 一方、保護期間が公表後70年間といった例外のケースもあります。 例えば、公表後70年間が保護期間の著作物として、以下の例があげられます。

作品の種類 公表後70年後が保護期間となる条件
作成した本人の情報が
分からない著作物
● 無名や変名で公表されている
● 変名であることが世間で知られていない
● 著作者の死後70年が「明らか」である場合は、「著作者の死後70年間」が保護期間となる
個人名義ではない著作物 ● 個人名義ではなく団体名義であること
● 著作物が公表されなかった場合、その作品の「創作70年間」が保護期間となる
映画の著作物 ● 著作物が映画作品であること
● 著作物が公表されなかった場合、その作品の「創作70年間」が保護期間となる

参考:著作者の権利の発生及び保護期間について | 文化庁

無名や変名の文章作品やイラストなどは、著作者の亡くなった際に、明確な日時が把握しづらいです。 著作者の本人の情報が明確でない場合、保護期間は「公表後70年後」となります。 ただ、ニックネームなどで公表された作品であっても、誰が制作したのか明らかである場合は、著作者の死後70年間が保護期間です。

例えば、漫画作品などは、本名ではなくペンネームで出版されることも多いです。 この場合は「変名」で漫画を発表している状態ですが、出版社を通して公表しているため、制作側の関係者は本人の情報を周知しています。 作品を変名で公表していたとしても、周知されている場合に該当するので、保護期間は著作者の「死後70年間」に該当するでしょう。
また、団体名義の作品や映画は、「公表後70年間」が保護期間となります。 作品を制作した団体によっては、永久的に組織が存続する可能性もあるでしょう。 つまり、団体が存続しつづけると永久的に著作権が保護されるのです。

著作権が永遠に保護されれば、学校教育や科学技術、文化の発展を妨げる可能性があります。 そのため、著作権法では団体名義の作品や映画の保護期間を「公表後70年間」と定めているのです。 ただ、著作物が公表されなかった場合、保護期間は「創作後70年間」となるので、留意しておきましょう。

著作者の人格権は死後も継続されるのか

著作権法では、著作権者の人格権の保護について定めています。
文化庁によると、具体的な著作者の人格権として、以下の例があげられます。

権利 内容
公表権 著作物を公表するかの決定
氏名表示権 著作者名を付け足すかや名義の決定
同一性保持権 自身の作品を他人に改変されない権利

引用: 著作者の権利の内容について | 文化庁

著作者の人格権は、自身の声望や名誉を守るための権利です。 上記の「著作権保護期間」で、原則著作者の死後70年間は著作権が保護されることを説明しました。 一方、著作権者が亡くなると、声望や名誉に関する権利は継続されるのか、疑問に感じる方もいるでしょう。 著作権法第60条では、著作者の人格的利益の保護について、下記のように明記しています。

第六十条
著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

著作権法 | e-Gov法令検索

つまり、著作権の人格権に保護期間はなく、永久的に継続されるのです。 そのため、亡くなった者が制作した作品を勝手に公表したり、著作者名に自分の氏名を付け足して公表するといった行為は、著作者人格権の侵害に該当するでしょう。

また、著作者の人格権の1つである同一性保持権に関しても、永久的に保護されます。 自分の作品を制作する際に、すでに著作者が亡くなった作品を改変する行為は、同一性保持権に抵触するのです。 ただ、条文で明記されているように、著作者が作品を制作した「意」に反しない公表や作者氏名の追加、改変は認められています。

例えば、世界の情勢の変化や科学技術の発展により、著作者が書いた文章作品の内容が正しくなくなるケースもあります。 この場合、文章作品を使用する際に内容を改変しても、著作者の人格権侵害に該当しないでしょう。

すでに著作者が死亡している作品の公表や改変などは、作者の意に反しないと判断される場合に限り、自由に使用していいのです。

近代文学作品の著作権は消滅しているのか

一般的に日本における近代文学とは、明治(1868年)から昭和戦前期(1945年ごろ)に制作された作品のことを指します。 現在時点から考えると、近代文学作品は著作権保護期間外のものが多いです。 ただ、保護期間は著作者の「死後70年間」と定められているので、自由に使えるものとまだ著作権保護されているものが混在しています。 数多くの近代文学作品から、著作権が消滅している著作物を見つけ出すのは困難でしょう。

特に、たくさんの文章作品が活用されるケースの多い国語や英語などの教科書制作では、ひとつひとつチェックするのに時間や手間がかかります。 日本国内の出版社の中には、すでに著作権が消滅した作者の情報をまとめ、手軽に検索できるサイトを運営している会社もあります。 教科書などの制作に小説などの作品を使用する際は、前述のサイトで著作権が消滅しているのか判断するとよいでしょう。

著作物使用で裁判所が著作権侵害と判断する具体例

著作物使用で、裁判所が著作権侵害と判断する具体例についてご紹介します。

● 教材制作におけるイラスト使用が著作権侵害となったケース
● 学習塾の生徒に向けたテストで著作物の使用が著作権侵害となったケース

裁判所は、作品の使用により著作者の利益や人格権が侵害されるのか、見極めて判決をくだします。 著作権の範囲について理解を深めるためにも、実際に起きた著作権に関する事件について、ご紹介します。

ここからは、上記2つの事件を具体的に解説します。

教材制作におけるイラスト使用が著作権侵害となったケース

教材作成におけるイラスト使用の著作権侵害について、ご紹介いたします。 具体的な内容は、以下の通りです。

著作権侵害差止等請求事件(裁判年月日:平成28年6月23日)
被告:依頼作成してもらったイラストを教材制作に使用した者
原告:教材制作に使うためのイラスト作成を、被告に依頼された者

被告の行った行為 原告の主張
①イラストに使用する本来の教材以外にも
イラストを無断で使用した
→原告が許諾した使用範囲を超えるもので
あるため、複製権と翻案権を侵害する
②イラストを使用した一部の教材で氏名表
示を行わなかった
→氏名表示権を侵害する
③原告が作成していないイラストの著作者
名に、原告の氏名を表記した
→氏名表示権を侵害する
④原告が作成したイラストに色などを装飾
し改変した
→同一性保持権を侵害する

参考: 平成26(ワ)14093著作権侵害差止等請求事件

被告の学習塾が、受講生に向けて行うテストに原告の教材を無断で複製し、著作権侵害に該当すると訴えられたケースです。 裁判所は原告の主張を認め、被告に損害賠償の支払いを命じています。 上記の事件を参考に、著作物使用で注意すべき点は以下の通りです。

● 学習塾は営利目的の教育事業であるため、著作権法が定める「学校その他教育機関に当てはまらない
● 学習塾の講師は著作物の無断複製が認められず、著作権者に利用許可を申請する必要がある
● 教科書などの著作物を複製する際は、著作権者と使用範囲に関する認識に違いが生じないように、文書などで契約すべきである

基本的に、著作権法が定める「学校その他教育機関」に属する指導者は、著作権者の利用許可を申請する必要がありません。

一方、学習塾や予備校などは営利目的の事業に該当するため、著作物の無断複製が認められないのです。 著作権法が定める教育機関などに該当しない者が著作物を使用する際は、著作権者に利用許可を申請する必要があります。

利用許諾を得る際は口頭でも問題ありませんが、認識の違いなどで後から著作権トラブルに発展しないように、正式な文書上で契約するのが一般的でしょう。

著作物を使用する際に一緒に考えるべき著作隣接権とは?

教材などを制作する際は、引用する文献や資料の著作権だけでなく、著作隣接権について考慮する必要があります。

● 著作隣接権とは?
● 著作隣接権の具体例

小説や資料集などの作品が周知されるまでには、著作物の伝達を担う者もいます。 著作隣接種は、作品の周知に関係している者が有する権利です。

ここからは、上記2つの点について詳しく解説します。

そもそも著作隣接権とは?

小説や漫画、楽曲などは、映画化やドラマ化、レコードにして販売されることがあります。 著作隣接種は、小説や漫画をもとに新しい作品を制作する際の「実演家」に与えられる権利です。

著作権法第89条1項には、著作隣接権について下記のように明記しています。

第八十九条
実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。

著作権法 | e-Gov法令検索

著作隣接権は、著作者の権利に関係するものではありません。 そのため、著作物を利用する際は、著作者だけではなく「実演家」の権利を考慮しましょう。

文章作品などの著作物を出版する者に著作隣接権はあるの?

一般的に小説や雑誌などの作品は、出版社によって伝達されることが多いです。 ただ、著作権法における「実演家」に出版社が定義されていないため、著作隣接権があるのか疑問に感じる方もいるでしょう。

著作権法第2条4項には、実演家について下記のように定義しています。

実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

著作権法 | e-Gov法令検索

条文には、俳優や舞踏家、歌手などがあげられており、文章作品などを印刷して出版する出版社については実演家として明記されていません。

一方、出版社が存在しなければ、作品が世の中に周知されないでしょう。 そのため、出版界では著作隣接権と同一の権利として、「出版物に関する権利」を主張しています。 出版広報センターでは、出版物に関する権利について以下のように述べています。

出版界では現在、「出版物に関する権利(著作隣接権)」と称しています(以下、総称して「本権利」といいます)。なお、著作隣接権は著作権法上で定義されている権利名称であり、著作権法改正以外の方法で本権利が付与された場合には別の呼び方となる可能性があります。

著作隣接権についてのQ&A

著作権法には定義されていないものですが、出版社にも著作隣接権が存在するという認識があります。 実演家の定義に出版社が含まれなくとも、文章作品を出版する者は著作隣接権を有するのです。

そのため、他人の出版物を使用して著作物を制作する際は、著作権者と出版社双方から利用許諾を得る必要があるでしょう。

著作権の保護期間

著作権の保護期間のまとめは、以下の通りです。

著作権保護期間の原則:著作者の死後70年間
例外:公表後70年間もしくは創作後70年間

作品の種類 公表後70年後が保護期間となる条件
作成した本人の情報が
分からない著作物
● 無名や変名で公表されている
● 変名であることが世間で知られていない
● 著作者の死後70年が「明らか」である場合は、「著作者の死後70年間」が保護期間となる
個人名義ではない著作物 ● 個人名義ではなく団体名義であること
● 著作物が公表されなかった場合、その作品の「創作70年間」が保護期間となる
映画の著作物 ● 著作物が映画作品であること
● 著作物が公表されなかった場合、その作品の「創作70年間」が保護期間となる

まとめ

今回は、著作権が無方式主義で発生する条件や著作物の保護期間、裁判所の判例、著作隣接権についてご紹介しました。
無方式主義により、著作物は作成された時点から著作権が発生します。
また、数十年以上前に発表された近代文学などの作品は、著作権保護期間外とみなされる著作物もありますが、保護が継続しているものもあります。 著作権が消滅しているのか判断するためには、保護期間について理解する必要があるでしょう。
ぜひこの記事を参考に、著作権の範囲について理解を深めてください。

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