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著作者人格権をわかりやすく解説!3つの権利内容や著作権との違いをご紹介

● 「著作者人格権ってどのような権利?」
● 「著作者人格権に保護期間はあるの?」

著作者人格権とは、作品の公表によって得られる著作者の人格的利益を保護するための権利です。他人の著作物を利用する際は、著作権だけでなく著作者人格権についても考慮する必要があります。一方、人格権の詳しい権利内容や保護期間がわからないといった方もいるでしょう。今回は、そんな方に向けて著作者人格権について詳しく解説します。

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著作者人格権とは?著作権との違いを詳しく解説

著作者人格権とは、作品によって著作者が得られる人格的利益を保護するための権利の事です。著作者が作品を制作して公表すれば、販売によって経済的利益を得られるだけでなく、自分の考え方やその作品に対する思い入れが世間に広まります。結果的に、自分の名誉や声望を高めることにもつながるのです。しかし、他人に無断で著作物を公表されたり改変されたりすれば、著作者の意図とは違う形で作品が知られてしまう可能性があります。著作者人格権の侵害が認められれば、損害賠償や名誉回復措置の請求を受けることになるでしょう。そのため、他人の著作物を利用する際は、著作権だけでなく著作者における人格権も考慮する必要があるのです。

著作者が有する具体的な人格権の内容として、以下の3つがあげられます。 ● ①公表権
● ②氏名表示権
● ③同一性保持権

3つの権利のなかで特に注意すべき内容は、著作物を勝手に改変されないための権利である「同一性保持権」です。ここからは、上記3つの点についてより詳しく解説します。

①公表権

公表権とは、公表されていない著作物を公衆に提供・提示する権利のことです。他人の作品を権利者以外の許可なく無断で公表した場合、著作者人格権の侵害に該当する可能性があります。公衆に提供・提示する具体的な方法は、文学作品の書籍化出版や動画コンテンツの動画サイト投稿があげられます。一方、著作者が公表権を行使できないケースがあり、その具体的な要件は以下の通りです。

● 著作物がすでに公表されている
● 著作権の譲受人が公表した

著作物がすでに一般公開されている場合、権利者は公表権を行使できません。また、著作権は他人に譲渡することが可能です。著作者が権利を譲渡した場合、著作権法(第18条2項1号)によると、著作者は譲受人が作品を公表することに同意したものと推定されます。そのため、著作権の譲受人が許可なく作品を公表したとしても、著作者は公表権を行使できないのです。

②氏名表示権

氏名表示権とは、作品を書籍化したりインターネットで公開したりする場合に、著作者の実名や変名を著作物に表示する権利のことです。具体的な氏名表示として、漫画作品に作者のペンネームを記載することや、映画の上映時にスタッフの氏名を表示することなどが例にあげられます。著作者人格権は、著作者の人格的な利益を守るためのものです。そのため、作品に著作者の氏名が表示されていない場合、人格的利益を害するとして権利に抵触する可能性があるのです。また、作品の制作者によっては、著作物に自分の名前を表示させたくないと考える場合もあります。著作者が氏名表示を望まないにも関らず名前を表示した場合でも、氏名表示権の侵害に該当する可能性があるので注意しましょう。ただ、氏名表示権を行使できないケースがあり、その具体的な要件は以下の通りです。

● すでに他の作品で表示されている氏名通りに著作者名を表示している
● 氏名を表示しなくても著作者の利益を害する恐れがない

他の作品ですでに著作者の氏名を表示しており、その通りに著作者名を表記していれば、権利を行使できません。また、学校の授業やプライベートでの利用が目的であれば、氏名を表示しなくても著作者の利益が害されるリスクが小さいため、著作者名を省略することが認められています。

③同一性保持権

同一性保持権とは、作品の内容やタイトルを改変されないための権利のことです。仮に、小説の一部分だけ切り抜かれたり無断でコンテンツの内容を変更されたりして作品が使われたとします。作品の改変の仕方によっては、著作者の意図に反した形で思想が広まってしまい、人格的利益が害される可能性もあるでしょう。作品の制作者の名誉や声望が傷つけられないためにも、著作物の同一性が保持されるべきなのです。

一方、著作権法(第20条2項1号)によれば、学校教育の目的上やむを得ない改変である場合、同一性保持権を行使できません。学校では、定期テストのための問題作成や生徒への学習指導のための資料作成など、著作物を利用する機会が多いです。たとえば、国語の問題作成では作品中の漢字をカタカナにしたり、論説文の文章を一部切り抜いて穴埋め形式にしたりと、改変する必要があります。教員がやむを得ず作品に手を加える場合は、同一性保持権の侵害には該当しないでしょう。

著作権との違い

著作権と著作者人格権の違いについて解説します。著作者人格権が著作者の人格的利益を保護するのに対し、著作権は経済的利益を保護するための財産権です。著作者は、作品の販売によって金銭的に利益を得ることが可能です。しかし、他人に著作物を無断で複製・配布したりインターネットで公開されたりすると、不特定多数の者が閲覧できる状態となります。購入を前提とする小説や映像などの作品が誰にでも提供されてしまうと、著作者は販売利益を得られなくなるのです。そのため、基本的にすべての作品は著作者の許可なしに利用することはできません。また、著作権と著作者人格権が異なる点は、以下のようにまとめられます。

      著作権 著作者人格権
保護するもの 経済的利益 人格的利益
権利内容 複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権・公の伝達権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権、二次的著作物の利用権 公表権、氏名表示権、同一性保持権
保護期間 原則、著作者の死後70年間 著作者が生存する期間
(死後は消滅)

著作権は、複製やインターネット公開、翻案や二次利用に関する権利が保護され、著作者人格権に比べるとその数が多いです。また、著作権の保護期間は著作者の死後70年間が原則です。一方、著作者人格権は作品の著作者が死亡すると消滅します。ただし、著作物における人格権が消滅したとしても、一定の範囲で権利は守られるので注意しましょう。著作者の死後における人格権については、下記で詳しく解説します。

著作者人格権は永久に保護される?

著作者の死後における著作者人格権や、譲渡できるのかという点についてご紹介します。

● 著作者の死後における著作者人格権
● 著作者の死後においても著作者人格権の侵害に該当しないケース
● 著作者人格権は譲渡できる?

結論から言うと、著作者人格権は著作者の死後に消滅します。しかし、権利が消滅するといっても、「人格権を考慮しなくてもいい」というわけではないので注意しましょう。ここからは、上記3つの点について詳しく解説します。

著作者の死後における著作者人格権

上記でも述べたように、著作者人格権は著作者の死後に消滅するのが原則です。しかし、著作権法(第60条)によれば、著作者人格権が消滅した場合でも人格的利益を害する行為は認められていません。また、「条文には著作者が存しなくなった後」と明記されており、著作物に関する人格権が消滅するのは、著作者の死後だけではありません。作品の権利者が団体名義である場合、その団体の著作物に関しても著作者人格権が存続します。公表権や氏名表示権、同一性保持権が消滅した後、具体的にだれがどのように守るかをまとめると、以下の通りです。

● 著作者人格権を行使できる者:存しなくなった著作者の遺族
● 著作者人格権を守る方法:差止請求と名誉回復等の措置請求

著作者がいなくなった場合、人格権を行使できる者は原則として著作者の遺族とされており、配偶者・子・父母・祖父母または兄弟姉妹の順に権利を行使できます。ただし、著作者が遺言で権利保有者に順位を設定していた場合、家族が含まれなくともその順位で著作者人格権を行使することが可能です。

著作者の死後においても著作者人格権の侵害に該当しないケース

著作者の死後でも著作者人格権を侵害する行為は認められていません。一方、作品を利用する際に内容を改変しても権利侵害に該当しないケースがあります。著作者人格権を行使できない具体的なケースは、以下の通りです。

● 学校教育など、学習指導のためのやむを得ない改変
● 明らかな誤字・脱字の修正
● 社会的な情勢の変動
● 著作者人格権不行使特約

上記でも述べたように、学校教育におけるやむを得ない改変である場合は、著作者人格権の侵害に該当しません。また、著作物が制作されてから何年も経つと、社会的な事情は変動します。作品の内容が過去の社会情勢においては正しくても、現在の情勢では内容が間違っている場合もあるでしょう。さらに、そもそも小説や論説文の文章に誤字があったり、内容にミスがあったりするケースもあります。他人の著作物を自分の作品制作に利用する際、正しい情報を提示するための作品の内容修正は、著作者人格権の侵害に該当しない可能性が高いのです。

作品に関する取引の契約書には、著作者人格権不行使特約が定められているケースがあります。不行使特約の内容は、著作者は契約書が指定する第三者に対して、著作者人格権を行使しないといったもので、契約に同意すると公表権などの人格権を主張できないのです。ただし、契約当時の想定以上の利用であれば、不行使特約が締結されていたとしても、著作者人格権を行使することが可能です。著作者人格権不行使特約については、下記の「名誉回復措置の請求とは」で詳しく解説します。

著作者人格権は譲渡できる?

著作者人格権は、作品の制作者のみに与えられる権利であり、他人に譲渡したり相続したりすることはできません。この権利の性質のことを、一身専属性といいます。上記で述べたように、著作者の死後であれば、配偶者や父母などの遺族や遺言で指定した第三者であっても人格的利益を行使できます。この場合、「著作者人格権は制作者のみが持つ権利ではなかったのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。著作者人格権は、「著作者」の人格的利益を保護するものであり、著作者の死後は権利自体が消滅しています。そのため、作品の制作者が死亡している場合、著作者が存していると想定し利用する必要があり、遺族が著作者人格権を有するわけではないのです。

個人・法人が作品を制作した場合の著作者人格権

個人・法人が作品を制作した場合の著作者人格権について解説します。

● そもそも4つの人格権を有する著作者とは?
● 業務で個人が著作物を制作した際の著作者人格権

個人で制作して公表する場合と個人が業務で制作した場合によって、著作者人格権の帰属先が異なります。ここからは、上記2つの点について具体的に解説します。

そもそも4つの人格権を有する著作者とは?

著作者とは、実際に作品を創作した者のことです。作品が制作されてから公表するまで、個人で完結している場合、著作者はその個人に帰属します。一方、著作物の創作活動には、複数人が関わるケースもあります。たとえば、絵本の制作では作家が文章を書き、画家やイラストレーターが絵を描くのが一般的です。この場合、文章における著作者人格権は作家に帰属し、絵における権利は画家やイラストレーターに帰属するのです。また、個人が会社の指示で著作物を制作する場合、著作者人格権は法人が有します。著作者は、著作物の制作状況によって異なるのです。

個人が業務で著作物を制作した際の著作者人格権

上記で述べたように、会社に属する個人が業務で制作した場合、作品における著作権と著作者人格権は法人に帰属するのが一般的です。会社の従業員が業務で作成し、権利が会社に帰属する著作物のことを職務著作といいます。所属する会社の勤務規則や契約内容において、従業員が社内で制作する作品の著作権に関する定めがない限り、その作品は職務著作となるのです。職務著作とは、以下の5つの要件を満たす必要があります。

● 作品の制作が法人その他の使用者の発意に基づくこと
● 従業員がその法人の業務に従事していること
● 作品が業務で制作されること
● 法人の名義で公表していること
● 制作時の契約や勤務規則に別段の定めがないこと

発意に基づくとは、法人が販売や認知度拡大などの目的をもち、作品の制作を従業員に命じることです。従業員には、正社員だけでなくアルバイトや派遣社員なども含まれ、勤務時間外に著作物を制作した場合であっても業務上の制作となります。また、著作物が制作した個人の名義で公表されると職務著作とはみなされず、著作者人格権は従業員に帰属するでしょう。

名誉回復措置の請求とは

著作者人格権の権利の1つである「名誉回復措置の請求」についてご紹介します。

● 名誉回復措置の請求とは?
● 著作者人格権を行使しない取り決めとは?

著作者が人格的利益を不当に害された場合、侵害行為を行った者に対して名誉や声望を回復するための措置を請求できます。ここからは、上記2つの点について解説します。

名誉回復措置の請求とは?

名誉回復措置の請求とは、侵害行為を行った者に著作者の人格的利益を回復するための措置を請求することです。名誉回復措置の請求権は、著作者の名誉や声望を害されないための権利である「名誉声望保持権」によるものです。名誉回復の具体的な措置として、新聞やホームページでの謝罪文の投稿や、SNSによる謝罪の投稿などがあげられます。著作者人格権を侵害された場合、損害賠償の支払いや差止請求だけではなく、侵害者に名誉回復措置を請求できるのです。

著作者人格権不行使特約とは?

著作者人格権不行使特約とは、著作者に人格的利益を行使させないための取り決めのことです。上記でも述べたように、著作者が不行使特約に同意した場合、著作者は公表権や氏名表示権、同一性保持権、名誉回復措置の請求を行えない可能性があります。しかし、著作者が人格権の不行使特約の取り決めに同意したとしても、権利行使を完全に防ぐことはできません。たとえば、当初より想定以上の範囲で著作物が利用されたり、内容が改変されたりした場合、著作者は人格権を行使できます。そのため、権利の不行使条約の合意があっても、著作者の意図に反する利用や社会的な評価や名声を毀損するような利用は控えるべきなのです。

まとめ

今回は、著作者人格権における公表権や氏名表示権、同一性保持権、保護期間や名誉回復措置の請求について解説しました。著作物を利用する際に、著作者の意図に反する形で作品を公衆に提供・提示すると、著作者人格権の侵害に該当します。著作者は名誉声望保持権を有するため、権利を侵害した者に対して謝罪の広告を請求することが可能です。他人の著作物を利用する際は、著作者の経済的利益だけでなく人格的利益についても考慮する必要があるのです。ぜひ本コラムを参考に、著作者人格権について理解を深めてください。

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