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【活用事例】問題作成で元の文書どこまで改変が可能か

入試問題などの教材制作をするにあたって、教材を提供する側は過去の入試の傾向や、今日の教育カリキュラムを分析しながら対応することでしょう。

例えば、過去に出題された問題の場合、年月が経過し教育カリキュラムや習得範囲が異なるなどの理由で「改変」した方が良いのでは……と感じるかもしれません。ほかにも問題集をチェックして、言い回しを少しアレンジしたいということもあることでしょう。

本記事では、元の内容をどこまで改変できるかどうかに絡んだ同一性保持権と、教材制作で知っておきたい二次利用などにフォーカスして解説していきます。

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同一保持権とは何か

同一性保持権とは、著作権法第20条に定められており、著作人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権・名誉声望保持権の4つ)の一つに含まれる権利です。著作物およびそのタイトルを著作者自身の意向を覆す形で、改変させないことを指します。ただし、同一保持権については、適用される事例とされない事例があるので、教材制作で入試問題などに携わる方は知っておきましょう。ここでは適用事例を解説します。 参考 著作権法|e-Gov法令検索

適用事例1:私用で使う複製

著作物を複製(コピー)する際に「私的」として自分や身内のみで使う場合であれば、著作権者に許諾を取る必要はありません。教材制作であれば、あくまでも「参考」の資料としてストックしておくという意味合いで捉えると良いでしょう。

適用事例2:学校の授業目的で使う教材の複製

著作権法第35条「学校その他の教育機関における複製等」に則り、学校などの教育機関では「必要と認められる限度において」という条件で、著作物の複製(コピー)が可能です。 また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う一斉休校も相まって、2020年4月28日「授業目的公衆送信補償金制度」を施行しました。この制度によって、学校などの教育機関が著作権者の許可なしでインターネットなどを用いて著作物を送信できるようになり、紙とネットの2つのツールで教材の複製ができるようになっています。ただし、こちらの制度は、全てのオンライン授業で適用する訳ではありません。ドリルやワークブックといった児童や生徒の購入が前提の著作物を故意に購入させず複製やネット配信する場合は、対象外です。 学習塾など営利を目的とした教育機関の教材の複製は、紙もオンラインも対象外となります。学習塾の教材を制作する側が著作権を無視し、「バレないだろう」と思って教材をコピーしても、通塾生もしくはその親御さんに複製が発覚してしまい、トラブルが生じるケースがあるかもしれません。それがSNSで拡散した場合、その塾のイメージダウンにつながる可能性があります。学習塾で就業している方は、著作権の共通認識を持つとともに、リスク管理などの細心の注意を払わなくてはなりません。 参考 授業目的公衆送信補償金制度の早期施行について | 文化庁 授業目的公衆送信補償金制度の概要

適用事例3:著作権の許可を得た過去の入試問題の複製は適用される

過去の試験問題を考えることも教材制作側において大切なことの一つです。著作権法第36条「試験問題としての複製等」のなかに記されている「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度」として認められています。 京都大学では、過去に出題された問題を大学の公式ホームページで公開し、PDFでダウンロードできる設定となっています。こちらの場合は、生徒などに提供したいという場合であれば、大学所定のフォームに使用目的などを入力および記載し提出が必要です。 参考 試験問題等の利用について| 京都大学

教材として二次利用したいなら許諾先に申請する

生徒にとって質の高い教材を提供するのが制作する側の役目です。そのためには「二次利用」として入試問題集や画像や許諾申請することもあります。 参考 弊社発行教材の二次利用に関するお問い合わせについて | 浜島書店

「やむを得ない改変」の範囲はどこまで?

教材制作するにあたって、出題したい問題内容が今の時代のニーズに少し合っていない、出題範囲が変わったなどのケースに遭遇することがあるかもしれません。その場合、内容をアレンジする、いわゆる「改変」をした方が良いのではないかと思うことでしょう。このような「やむを得ない改変」が必要だと判断した場合、どのような範囲まで対応をしたら良いのでしょうか。著作権法第20条第2項の内容に基づき、著作権の意にそぐわない場合でも教材制作で「やむを得ない改変」が適用されるケースは以下のとおりです。

「やむを得ない改変」が適用されるケース

  • 教科書に掲載する目的として用字および用語を改変する
  • 著書自体に誤字脱字、衍字(えんじ:本来入らない文字が余分に入っていたさま)が入っていた
  • プログラムの利用上、必要に応じてバージョンアップせざる得ない
  • 著作物の性質ならびにその利用の目的と状態などやむを得ないと判断した

同一保持権侵害の例

教材制作にあたり、同一保持権侵害になるケースもあります。ここでは事例をピックアップしていきましょう。

第三者向けに過去問題集をスキャンし、PDF化

過去問は資格や入試で必要不可欠な問題集です。生徒のために過去問をスキャンしてPDF化し、複数の生徒に一斉配信や配布をすれば効率が良いという場合があります。しかしながら、この行為は私的目的での利用に相当するため、第三者への配信や配布ができません。また、生徒から過去問のコピーの依頼があるかもしれませんが、その際は過去問題集を数日間、貸すようにし、個人で複製させるよう促しましょう。または、過去問の書店やECサイト、フリマアプリで購入を進めても良いかもしれません。

テレビまたはラジオ番組を再編集し、授業で使う教材を制作する

NHKのEテレなどでは学習に役に立つ知識習得系の番組(コンテンツ)を多数制作しています。たとえば、日本の各地を散歩して地理と地政学を学ぶ番組の情報をそっくりそのまま教材として盛り込むという場合、著作物の内容を無断で改変する行為となりますので、気をつけましょう。

画像をスクリーンショットまたはダウンロードした後に、教材を制作する

インターネットで画像の検索をかけると、お目当ての数学の図版や化学式、歴史的建造物などが多数チェックできます。おそらく教材として使いたい画像があるかもしれません。画像をスクリーンショットしたり、画像としてダウンロードできたりしても「画像フリー」でない限り、教材として活用できないので、十分注意しましょう。

テキストに記載されている文言を一部変更した

教材制作をする際に参考にしているテキストの文言を引用することもあることでしょう。その際に言いまわしが自分にとって好ましくないから一部アレンジし別の内容に変更した、もしくは一部削除した場合は、同一保持権侵害となります。なお、このケースは、同一保持権侵害だけなく、著作物を二次著作物として創作できる権利「翻案権」の侵害にも該当するので、気をつけましょう。

参考までに入試問題などの教材制作する場合、次の行為が同一保持権侵害に該当します。

  • 小説(=著作物)の旧仮名遣いを新仮名遣いに変更する
  • 文章題(=著作物)の登場人物の名前を変更する
  • 数学のグラフ(=著作物)のレイアウトを一部変更する
  • 世界史に出てくる絵画のキャプションタイトルを割愛した
  • イラスト(=著作物)の一部を削除または修正する
まとめ

教材制作といっても授業の応用問題や入試問題など、多岐にわたっています。そして、今の時代、欲しい情報がインターネット上で探せば見つかるので、ネットの情報をそのまま使って仕事の効率化を図りたいという方もいることでしょう。ただ、日本には「同一保持権」という著作物とそのタイトルを著作者自身の意思に反する形で、改変させないという権利があります。そのため、文書を改変するには「制約」があるのです。ほかにも、とある英文を和訳するといった二次利用も教材制作において関連性が高いので、同一保持権と一緒に理解を深めていきましょう。

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